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幸せな一時。
愛し愛されて温もりの中にいる私。
隣にある喜び。
触れ合うことの心地好さ。
独りじゃない。
寂しくないのだと笑みが零れる。
けれど、突然世界は暗転した。
細く見える光の先に。
私は、独り。
「…イヤ!」
目が覚めるととめどなく涙が零れる。
この人はこのままだと戻ってこないのだと思考が直感で繋がった。
どうすればいいのか。
私ができる選択肢は決して多くない。
「どうした?」
眠そうに薄く目を開け、私を引き寄せる彼。
腕に力がこめられると体は痛いくらいだけれど幸せが溢れる。
「…独りにしないで」
私の言葉に彼は決して独りにしないとは返してくれなかった。
ただ、愛してるという言葉と私の真名を呼ぶだけ。
生きてほしい。
戻ってきてほしい。
この人に。
私ができる選択肢は決して多くない。
でもできることは、ある。
どうかここに戻ってきて。
その時私は。
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