よわりめのいとしきみへ

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遠い異国にいても名前を聞くほどの騎士が存在した。 数々の戦歴を残し、黒い装束で一際大きな馬に跨がり剣を振るうことから『黒い悪魔』と称された。 その騎士は背が高く、金の髪に深い碧の瞳。 とある大戦で失った右目には黒い眼帯をしているが、整い際立った顔立ちは隠せるものではなかった。 畏怖べき存在の彼は黒い装束といえど普段は温厚で優しい人柄だという。 また、数々の国々で名を残す魔女も存在した。 艶やかな黒髪と白い肌に際立つ紅い唇で、体は小柄の愛らしい少女の面影が残る女性だった。 彼女は勉強家で国々で学んだ事柄を駆使し、時に魔力を使い、時に学んだ知識を人々に分け与えた。 時に厳しく、激しい人柄であったが皆に愛される存在であった。 そんな彼女は『慈愛の女神』と称されたという。 この二人は似て否なるようであるが一つの共通点があった。 それは大陸の東に位置する大国の同郷であったということ…  
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