―幸福―

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「記念すべき第一組目の幸せな新郎の役目を、俺にさせてくれないか?」 これは一応告白だ。 お嬢に通じているのか疑わしいところだが、今のお嬢の真っ赤な顔を見ると、恐らく通じたものだと思う。 「さ、咲月…えっと…あの…」 「俺はまだ16だから、今すぐ結婚は出来ない。でも、遊園地が出来るまで…結婚式をあげるまで、俺は心を揺るがさない自信がある。まだやりたいことが見つからない俺だけど、皐月が《幸せだ》と思うことは実現させて見せる。」 「咲月…。」 「だから…遊園地ができたら、一番に結婚しよう。後からそこで結婚する、どのカップルよりも幸せな夫婦になろう。」 「うん!」 皐月の笑顔には幼さがある。 子供のような、花が咲くような笑顔。 「幸せになろうな。」 「うん!…あ、そうだ!これ!」 皐月は小さな箱を俺の前に出した。 「やっぱり、作りたかったの!バレンタインの本命チョコ!」 「いつ作ったんだ?」 「え~っと…。」 「…授業中か?サボって作ったとか?」 「何で知ってるの!?」 「…。」 怒るのは後にしよう。 俺のために作ってくれたのだから…。 「ありがとう。」 どんな味でも関係ない。 皐月が作ったことに意味があるのだ。 「さて、勉強するぞ。」 「えー!?」 「とりあえず、今日サボった分はやってもらうからな?」 「鬼!悪魔!」 「あんたのためなら悪魔にでもなれるよ。」 大切な人のためなら、いくらでも優しくできるし、悪魔にだってなれる。
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