―幸福―

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数年後。 「ねぇ、咲月!どっちの色がいい?」 「…。」 「どっちがいい?」 「…どうせ、両方着るんだろ?」 今日、俺たちは結婚する。 皐月はそのドレスを選んでいるようだ。 確かに何着か着る予定だった。 だが…。 「…あと30分で始まるんだけど…、式。」 「やっぱり白かな?でも、ピンクも可愛いし!」 こうなった皐月は止められない。 それは俺自身がよく知っている。 だが、それ故に止め方も知っている。 「皐月。」 「何?薄黄色の方がいいかな?」 「…どれを着ても似合うよ。早く綺麗な姿を見たいから、早く決めてくれ。」 皐月は顔を赤らめ、「わ、分かった!」と言いながら、白のドレスを持って着替えに行った。 「まったく…。」 そんなとき、ノックの音が聞こえた。 「瀧澤~!」 「咲月さん!」 「あぁ、豊花。入っていいぞ。」 「俺は?」 「…入るのか?」 「嫌そうな顔しないでくれる?」 ドアの向こうにいたのは、豊花と桂木。 俺と皐月の大親友。 二人を部屋に招き入れ、皐月が来るまで話をすることになった。
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