―幸福―

34/35
前へ
/253ページ
次へ
「年月が過ぎるのって早いよね~!」 「桂木、おっさんみたいだぞ?」 だが、桂木のいう通りだ。 あっという間に年月は流れた。 「最初、出会った時、確か皐月は自殺しようとしてたよな。教師をビビらせたかっただけらしいが。」 「そうそう!で、銀時計を落としていて、それを瀧澤が拾ったんだよな!」 「それを返してもらいに私と皐月ちゃんは、咲月さんと和輝さんのところに行ったんだよね!それで、咲月さんが銀時計を壊しちゃって…」 「俺じゃない。壊したのは皐月だ。」 「原因は咲月さんでしょ?」 「…。まさか、弁償のために執事をやらされるとは思わなかった。」 「そうだな!っていうか、瀧澤は結局、何の職に就くんだよ?」 「今は少しずつ秘書の勉強をしている。」 『秘書になるの?』 ビックリしたように2人が言った。 「執事を辞めるの。」 「いや、辞めない。執事も俺がする。皐月の世話を他のやつにさせるかよ。」 「独占欲強いな!」 「当たり前。」 そう言った時、ドアが開いた。 そこには…―。 「こんな綺麗な花嫁、独占したいに決まっているだろ?」 そこには、ドレスの白が映えるほど顔を赤らめた皐月がいた。 「さて、式を始めようか。」 「うん!式が終わったら、遊びまくろうね!みんなで!」 「オープンは明日だよね!お客さん、たくさん来るといいね!」 「そうだね!豊花ちゃん、いつか俺たちもここで式を挙げような!」 「うん!」 「二人とも、おもいっきり祝福するからね!」 この暖かい時間がいつまで続くかは分からない。 けど、これだけは確実。 俺たちは、《幸せ》だ。
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8357人が本棚に入れています
本棚に追加