プロローグ

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誰も使わなくなった倉庫で永川東次は追いつめられていた。 『おい てめえ見たんだろ!』 とある若い男が壁を殴りつけながら言った。 『い、いえ…な、何も見てません。』 気が弱い東次はビクビクしながら答えた。 『嘘ついてんじゃねぇぞ!』 とまた別の若い男が東次の胸ぐらを掴んで言った。 『いい加減吐いちゃいなよ。』 男に続いて今度は女が言った。 『ほ、本当に何も…』 声がかすれてるのが自分でも分かるくらいだった。 『こいつ、全然吐かないじゃん』 と言いながらチャラ男がタバコを床に捨てた。 『ボス、どうするの?』 中年くらいの女がボスに聞いた。 『決まってるだろ。証拠が残らないように始末しろ!』 低い声でいい放った。 『それだけは、やめてください』 『ガタガタぬかしてんじゃねぇ』 『もう、決まったことなの』 『そうそう。もうあきらめちゃいなYO YO YO』 『これで、もうおさらばね』 中年の女がナイフをだしながら言った。 『そ、そんな』 (兄ちゃん…たすけて…)と心で願った瞬間、東次の腹部にナイフが突き刺った。 赤い血がどんどん流れるそして顔も青ざめていった。 その頃、東次の兄永川一弥はいつもの喫茶店で1時間前から待っていた。 『あいつ、遅いなぁ』 と時計を確認した。注文したコーヒーはとっくに飲み干していた。 しかし、2時間経っても来る気配はない。 『何か、あったのか』 と思った一弥は携帯電話を取り出し着信履歴から電話したが留守電のまま一向につながらない。 (おかしい。あいつが遅れるときはいつも連絡がくるはずだ。) 急いで会計を済ませた一弥は喫茶店を飛び出した。 あいつがいつも行くところ何ヵ所も行き回りにいた人をたずねた。 がなかなか目撃者は現れない。 次第に雨が降りだした。こんな時にと雨に苛立ちながら探しいたら ついに見たという人に出会った。 『ど、どこに行ったんですか??』 一弥は息をきらしながら言った 『なんか、6人組の怖そうな集団に呼ばれていたわよ』 主婦はちょっとひきながら答えた。 『で、どこに??』 『向こうにある倉庫よ。』 『あ、ありがとうございます。』 頭を下げる間もなく倉庫に走り出した。 策を超えると、人が倒れていた。 まさかと思い近づくと一瞬で血の気が引くのが分かった。 『東次……おい!東次』と駆けより体を起こした。 するとうっすら目を開けた 『……に………ーちゃん』 『もう、喋るな。すぐ救急車呼んでやるから』
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