case1

4/6
前へ
/9ページ
次へ
『じゃあ、そろそろ行ってくるかな。』 新美が背伸びしながら言った。 『お前今月ピンチだもんな(笑)』 と倉橋は茶化した。 『う、うるせぇ!ところで、お前はどうなんだよ。』 あまりにも動揺をかくしきれずとっさに話題を変えた。 『倉橋は今月トップだ。お前も少しは見習え』 今度は倉橋の代わりに鬼島が答えた 『えー、なんでこんなヤツを。』 『悪いけど、お前にだけは言われたくないから。』 『何だとコノヤロー。』 『ハイハイ。ケンカはそこまで。はい!行った行った』 鬼島が手をパンパン叩きながら二人のケンカをとめた。 『はい。行ってきまーす。じゃあな落ちこぼれ。』 挑発気味に新美に言い放った。 『おい!待て!まだ、決着が…』 倉橋をとめようとしたが、逆に鬼島にとめられた。 『お前はこっちだ。今日からしばらく川永くんと組んでもらう。』 新美の襟を掴みながら言った 『え~!?俺がですか?』 新美はダルそうに言った。 『え~!?じゃないんだよ。まだ仕事が分からない川永くんにお前が教えるんだ。嫌なら倉橋に…』 倉橋の名前を聞いた新美は 『いえ。私がやらせていただきます。じゃあ行こうか川永くん』 『は、は…。』 と言うまえに真也は強引に連れ出された。 鬼島は思惑通りにいき満面の笑みを浮かべた。 『は~今日も暑いな』 ネクタイを動かしながら新美がぼやいた。 『そうですね。』 すかさず真也は相槌をうった。 『そういえば、お前とはどっかであったことあるような気がするんだが…』 『え!?会いましたっけ?』 『絶対あるんだよ…』 とずっと考えてる新美を見て 『人違いなんじゃないですか?』 と言った。途端新美が 『そ、そうだ!』 と急に大きな声を出した。 真也はビクッと肩を上げた 『どうしたんですか!?』 『今日の朝だ!』 『朝…ですか。』 『ほらぶつかったろ?』 『ぶつかる……あ!あの曲がり角!あれ新美さんだったんですか』 『やっと思い出したか。てか、なんであんな急いでたんだよ?』 唐突に質問された真也は 『そんなことどうでもいいじゃないですか』 と誤魔化した。 『まあ、確かにどうでもいいか。』 とくに掘り下げて来なかったので真也は安心した。 『で、今日はどの家にいくんですか??』 名簿をみながら新美は 『えっ~と、昨日の続きだから……5丁目の原田さんの家だな』 とページをめくりながら言った。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加