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『じゃあ、そろそろ行ってくるかな。』
新美が背伸びしながら言った。
『お前今月ピンチだもんな(笑)』
と倉橋は茶化した。
『う、うるせぇ!ところで、お前はどうなんだよ。』
あまりにも動揺をかくしきれずとっさに話題を変えた。
『倉橋は今月トップだ。お前も少しは見習え』
今度は倉橋の代わりに鬼島が答えた
『えー、なんでこんなヤツを。』
『悪いけど、お前にだけは言われたくないから。』
『何だとコノヤロー。』
『ハイハイ。ケンカはそこまで。はい!行った行った』
鬼島が手をパンパン叩きながら二人のケンカをとめた。
『はい。行ってきまーす。じゃあな落ちこぼれ。』
挑発気味に新美に言い放った。
『おい!待て!まだ、決着が…』
倉橋をとめようとしたが、逆に鬼島にとめられた。
『お前はこっちだ。今日からしばらく川永くんと組んでもらう。』
新美の襟を掴みながら言った
『え~!?俺がですか?』
新美はダルそうに言った。
『え~!?じゃないんだよ。まだ仕事が分からない川永くんにお前が教えるんだ。嫌なら倉橋に…』
倉橋の名前を聞いた新美は
『いえ。私がやらせていただきます。じゃあ行こうか川永くん』
『は、は…。』
と言うまえに真也は強引に連れ出された。
鬼島は思惑通りにいき満面の笑みを浮かべた。
『は~今日も暑いな』
ネクタイを動かしながら新美がぼやいた。
『そうですね。』
すかさず真也は相槌をうった。
『そういえば、お前とはどっかであったことあるような気がするんだが…』
『え!?会いましたっけ?』
『絶対あるんだよ…』
とずっと考えてる新美を見て
『人違いなんじゃないですか?』
と言った。途端新美が
『そ、そうだ!』
と急に大きな声を出した。
真也はビクッと肩を上げた
『どうしたんですか!?』
『今日の朝だ!』
『朝…ですか。』
『ほらぶつかったろ?』
『ぶつかる……あ!あの曲がり角!あれ新美さんだったんですか』
『やっと思い出したか。てか、なんであんな急いでたんだよ?』
唐突に質問された真也は
『そんなことどうでもいいじゃないですか』
と誤魔化した。
『まあ、確かにどうでもいいか。』
とくに掘り下げて来なかったので真也は安心した。
『で、今日はどの家にいくんですか??』
名簿をみながら新美は
『えっ~と、昨日の続きだから……5丁目の原田さんの家だな』
とページをめくりながら言った。
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