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『原田…』
と呟いたあと直ぐに聞き返した
『その原田って人の名前はなんて言うんですか?』
『え!?』
『なんて言うんですか!』
その勢いが凄まじいかったので
『原田、原田孝生です』
と何故か敬語になってしまった。
『原田孝生…ですか…』
と言った後鋭い目つきなったのを新美は見逃さなかった。
『ここだな』
事務所から徒歩で約20分かかるとこにあった。
『ボロいアパートですね。』
『あぁ、コレは想像以上だな。』
『早速行きますか。ところで売る商品は何なんですか?』
『今回はだ。売る商品は変わったりする。』
『それにしても、ちょっとセンスないですね。』
『だよな~。鬼島は考えが昭和なんだよ。』
と愚痴をこぼした。
『ハックション!う~ん。風か?』
愚痴をこぼされてるのも知らずに鬼島は煎餅にかぶりついていた。
『あれ?インターフォンはどこだ?』
『ないみたいですね。』
『今どきインターフォンくらいつけろよな。全く。仕方ないノックするか~』
ため息つきながら2回ノックした。
『出ねぇなぁ~。今度はお前がやってみろ。』
『僕ですか!?』
と真也は自分の顔を指差した。
『お前以外に誰がいるんだよ。』
は真也の背中を押した。『分かりましたから、押さないでくださいよ~。』
と口を尖らせた。
『これで、出てこなかったら次に行くから。』
真也は同様2回ノックした。
さらにもう2回ノックした。
『出てこないなぁ~。』
『そうですね~。どうします?』
『仕方ない。次行くか』
『もうちょっと粘りませんか??』
『は?何言ってんだよ。回らなきゃならない家はまだたくさんあるんだから、一つの家だけにかまってる時間は俺らにはない!』
『そ、そうですよね…』
『なんだ?ここお前の知り合いの家なのか?』
『いや、そんなんじゃないです。さぁ行きましょう!』
『おぉ、そうだな。』
と諦めて引き返した瞬間。
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