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私は昔、攘夷浪士のおかげで家族や家をなくし、挙げ句の果てに仲間までもなくした暗闇の中にいた。
私が唯一、持っている物……それが父の形見、2本の刀だけ。他は何もない。
……そして私が25歳になり、金も尽きてきた。
私は決心をした。
――バイトを始めよう――。
私は何十件も店に行き、バイトの面接を受けていった……が、全て受からず、どうしようかと途方に暮れていた。
――そして次を最後にしようと決め、スナックお登勢の前に立った。
私は思い切って自分とは正反対のスナックを選んだ。
私は緊張をした。
……でも、勇気を出さないとバイトにも受からず、餓死してしまう。
そう思い、スナックお登勢の戸を開けた。
……ガラ……ガラガラガラ………
中には男女合わせて5人の人達がいた。
中の人達は一斉に私に視線を向けた。
するとカウンターの中にいる黒い着物の女性がタバコに火をつけ、口を開けた。
「済まないねぇ。うちは夜に開店するんだよ。」
「い、いえっ!わ、私は、客として来たのではなく……その………バイトがしたくて来たんですっ!」
「「バイト?」」
「帰リナ!テメェミタイナ餓鬼が来ル様ナ所ジャ、ネェンダヨ!!」
この猫耳のオバサン……カタコトで何を言っいるのか、ほとんど分からない……。
何か……ムカつく。
……それより、ここで落ちたらバイトの面接は最後にするんだ、粘ってみよう……!
私はみんなの前で頭を深々と下げた。
「お願いします。どうしても……どうしても、金が必要なんです……!!」
――すると今まで黙っていた、銀髪で天然パーマの男性が口を開けた。
「バイトぐれぇ、いいんじゃねぇか?猫耳のババアがいるより大分マシだろ。」
すると猫耳のババ……じゃなくて、猫耳の女性は目を見開け、凄い迫力で銀髪の男性にツッコミをいれた。
「オィイイィイ!!遠回シニ、私ガ「クビ」ミタイナ言イ方ヲ スルナヨ!!天パヤローガァッ!!」
すると銀髪の男性は冷静に返事をした。
「ギャーギャーギャーギャー、うるせぇよ。発情期ですか、コノヤロー。」
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