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私は2人の会話を聞いて、拳を口の前に置き、クスクスと笑った。
するとタバコの女性が口を開けた。
「アンタ、家は?」
「……え?……あー……ありません……」
「家族はどうしているんだい?」
私の頭の中には両親の様々な表情が浮かび上がり、悲しい表情になった。
するとタバコの女性はそれを察したのか、軽く溜め息を吐き、微笑んだ。
「それじゃ、毎日バイトで決定だね。」
「分かりま………え?」
私は目を丸くし、頭を上げてタバコの女性を見た。
「今日からバイトしに来な。」
私の表情はパァッと明るくなり、微笑んだ。
「はいっ!」
私は安心したような一息を吐いた。
緊張が一気に取れたようだ。
バイト……受かって……良かった……!!
「自己紹介でもしとくかね。私はお登勢(おとせ)さね。こっちの猫耳がキャサリンだ。」
「わ、私は志乃武(しのぶ)と言います!」
……すると今まで黙っていた、眼鏡の男性とチャイナ服の女性が私の側に寄り、眼鏡の男性は私の手を掴んだ。
「僕は2階の万事屋で働いている、志村新八(しむらしんぱち)。よろしくねっ!」
新八さんと言う男性は手を離し、ニコッと微笑んだ。
スナックの上は万事屋なんだぁ…!
面接で頭の中がいっぱいいっぱいだったから、気が付かなかった……。
「アタイは神楽ネ!銀ちゃんと2階に住んでいるヨッ!」
チャイナ服の神楽さん……。
可愛らしい人だなぁ……。
……すると銀髪の男性が私の手に名刺を渡し、直ぐに椅子に座った。
私はキョトンとしながらも銀髪の男性に渡された名刺を覗き込んだ。
名刺には、万事屋 銀ちゃんと書いてあり、その隣に名前が少し大きく書いてあった。
「……坂田銀時(さかたぎんとき)……さん?」
「金、くれるんなら、何でもするから。よろしくな。」
「ついでに銀時達の事は呼び捨てでいいからね。」
すると銀時さんの眉がピクッと動き、お登勢さんを睨んだ。
「……って!!おい!!腐れババアが何、勝手に決めちゃってんのぉっ!!?」
「文句があるなら、まずは家賃を払え!!」
すると銀時さんは急に黙り込んだ。
銀時さん……家賃、払ってないんだ……。
すると新八さんは苦笑いをした後、私の腰にある、父の形見に視線を向けた。
「志乃武さんって……侍?」
「えっ?えーっと、侍って言うか、何と言うか……。」
「……それ……どっかで……。」
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