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爪切りにおける因数分解
夜
広げた新聞紙の上にて爪を切った
その水平線を折りあげて
ゴミ箱の中に流し込む
つい数分前には間違いなく私であったものたちは
今ゴミとなり捨てられた
私の体を動かす
肉も、血も
はたまた髪の毛も
私から切り離された瞬間にゴミとなり汚れとなり
決められた曜日に積み重ねられる
可燃ゴミとなる
そんな当たり前のこと気づき
しかし私は安堵した
私は
あのぬいぐるみや
けん玉
大事な大事なくだらない宝物たちと同じであるのだ
埋め立てゴミではないこの体の
なんと素晴らしい真実
切り落とし
切り離し
人体の因数分解を重ねて
すべての約数を失った最期に
何が残るだろうか?
そうなった時分にまた
きっと貴方と会えるのだろう
サヨナラ
何回目か先の
可燃物のゴミの日に会いましょう
できるなら
火曜日がいいな
(´д`)爪を切りながら思ったことです
自分が可燃ゴミだと気づいたとき私は本当に嬉しかった
思わず文字を手探って詩にせずはいられないくらいに、嬉しかったんです
私なんかが埋め立てゴミじゃなく、すべての下らない宝物と同じ素数だったことが、本当に
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