狩りますが、ナニか?

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人影はもはや“人”影である根本的な意味を失う。 端的に噛み砕いて状況を言うならば、人影の顔面はバットで凹んだ。 さらに男の豪腕に首が耐えられずに身体から頭部がもげたのだ。 「――ゴクリッ」 男がフルフェイスヘルメットの中で息を呑む。 「チッ……バカが 仕留め損ねたな」 肩に乗っていたチワワが男に文句を言う。 「人の形なら何でも頭を潰せばいいというものではない。 コイツの【核】は心臓だ」 「――アアアア」 気味の悪い身の毛もよだつような声にヘルメットの男が肩を跳ねさせた。 もげた首が薄い皮で振り子のように揺られている。 その首から、今の声が発せられたのだ。 「……ゾン、ビ」 男は目の前の人の形をした化け物を恐怖に震える声でそう呼んだ。 人の形をしている化け物。 首がもげても死なない。 いや、具体的には死も生もない。 とっくに死んでいるのだから。 とにかくそれには他にも生者と異なり点があった。 青紫に変色した肌 白く濁った瞳 決定的な点として、ふくらはぎから蛆(ウジ)がわいているところだろう。 「貴様もゾンビだろうが……」 男の発言にチワワは呆れてそう呟くが、男には聞こえてない。 「アアアアアア…」湿り気のある足音を発しながら腐敗したゾンビが近づいてくる。 「くっ、来るんじゃねぇ!」 カーゴパンツのポケットからミニペットボトルを取り出して蓋を開け、勢いよくゾンビに投げつける。
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