21334人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ赤な夕暮れに染まる公園
俺は探し物をしていると思われる少女の姿を見た。
公園の中で足元ばかり見て右往左往としていて結構目立つ。
何故か放っておけず、いつもは立ち寄らない公園に入り、少女の近くまでいく。
「ねぇ」
「! ……な、なんですか?」
少女は警戒した様子で俺を見る。
まぁ、当然なリアクションであるな。
「探し物だろ? 手伝うよ」
「いえ、結構です」
即答だ。
俺に対してかなりの警戒心の高さを窺える。
「そうか。んじゃ、勝手に探す。
俺はあっち見るから、できたら特徴教えてくんない?」
「……」
少女は俺から少しばかり距離を空けて細めた目で俺を見た。
かなり怪しんでいるようだ。
「このままだと暗くなって、俺みたいのが増えるぜ?」
俺が言った言葉に納得したのか、少女はゆっくりと口を開く。
「……赤い、ブローチです」
「あいよ」
俺は近くのベンチに鞄を置き、赤いブローチを探す。
最初のコメントを投稿しよう!