狩りますが、ナニか?

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「この町――【央扇町】には最近になって悪魔――いえ、古今東西の世界中の【妖魔】が集まっているわ。 今は別件の事件が起きていて人手が不足してるため、この町の仕事に少しでも人員が欲しいの。 貴方には一般人に被害がないように妖魔を狩ってもらうわ」 「その……何で俺?」 ハイデルはチラッと寝台に置かれたガラス菅を一瞥する。 「貴方には拒否権なんてないし、もはや人権もないの。 だって死んでるんだもの。 でも、それだとこちらとしては都合が悪いから生き返る方法を提示するわ」 あまりに自然に俺の死を話題に出されたもんだから軽く少し事態を計りかねる。 しかし、俺が死んでいて、目の前にはオカルトの対象をリアルに肯定する素材がある。 最早認めるしかないのだろう。 「どうすれば俺は生き返る?」 まるでその言葉を待っていたと言わんばかりにハイデルは笑む。 今までの優雅な笑みではなくて、まるで【魔女】のような邪悪さと艶やかさ持っていた。 「肉体は今は大丈夫に見えるけど、それは体の一部を妖魔化したからよ。 そのまま心臓を戻せば心臓は完全な妖魔のモノとなり、自我を失う」 その言葉に俺は身震いした。 自我を失う? それ、なんかとてつもなく恐いんだけど……
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