狩りますが、ナニか?

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「でも大丈夫よ」 とハイデルは泣いてる子供をあやす保母のような声で俺に告げる。 「それは肉体が“妖魔になることでしか維持できない”という状態にあるからなの。 肉体の損傷を回復させ、その時点で心臓を戻せば体は“ほぼ”元の人間に戻るのよ」 「どうやって……その損傷を回復させるんだ?」 「ゼクラ」 名を呼ばれ、ゼクラは俺の右手を指さす。 「君の右手ね、ミンチになってたから別の腕を着けたんだ♪」 「ぶッ!!?」 右手を見直す。 よく見れば肘から先が若干、本当によーーく目を凝らさないとわからない程度に白い。 そして前腕の中腹辺りにはまるで切られたかのような痕もあった。 「それは“ストック”していた腕でね、魂を操る魔具を秘めてるんだ♪ 前の作品は暴走したから“処分”したんだけど、その魔具は残しておきたかったんだよね♪ 折角だから君に着けたんだよ♪ それで狩った妖魔の魂を“食べて”生命力をゲットって寸法さ♪」 ……暴走……処分 その言葉に、俺は初めてこの場で“人間”として扱われていないということを理解した。 俺は恐怖した。 他でもない。 この場にいる者すべてにだ。 「改めて自己紹介♪ 僕はゼクラ・イヲ・クラウセシス そこのチワワに見えるのは彼女の使い魔【エクシア】さ。 よろしく♪」 差し出された手 俺は恐怖をこの場だけでもと飲み込み、手を握る。 「……よろしく」 こうして、俺のゾンビ生活は始まったのであった……
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