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とにかくだ。
俺が生活するにしても普通の人間の生活には合わないのである。
それでもしょうがないと自分に言い聞かせ、連続で100時間以上起き続けている俺は新しくハイデルに用意してもらった制服に袖を通す。
リビングにいくと母さんがもう料理を準備していた。
――そういや、最近の母さんの様子がおかしい。
俺にあまり話し掛けなくなった。
前は「朝飯つくれ」「掃除しろ」「晩御飯買ってこい」「小遣い?バイトしろ」「夜遊びするなら二度と帰ってくるな」とまで言ったのに……
この前かなり遅くなったけど、ゼクラが学校の先生の振りをして誤魔化してくれたはずだ。
怒られる要素は何もない。
自分にそう言い聞かせ、俺は自然と近くにあったラー油、辛子、ワサビ、七味唐辛子をご飯、味噌汁、鮭の切り身にぶっかけ――
「ドホォ?!」
いきなりだった。
料理の味付けを敢行していた最中に俺の頭部はテーブルに叩きつけられる。
後ろからドスの利いた声がする。
「……それは私の飯が食えないという無言の反抗か、愚息?」
こんなときばかりは痛覚が鈍くて良かったな。
真後ろから子供の頭を掴んでテーブルに叩きつけるなんて親はこの人しかいないだろう。
my motherこと
高橋智美(タカハシトモミ)
貿易関係会社に勤めている。
「いや、最近激辛がマイブームなもので……」
こうでもしないと砂か粘土を食べてるみたいになるから、味付けはあるに越したことはない。
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