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「相変わらずモテモテだなぁ」
そう言ってやると智宏は「いやいやいや」と手を横にふる。
「いつも言ってるけど真希は妹で春菜は“ただの”幼馴染みだって」
「ふんっ」
ドスッと智宏の脇腹に岸本の拳が入った。
智宏は「ゴフッ」と息をもらす。
「は、春菜? 何をす」「うるさい、バーカ!」
岸本はそのまま走り去っていってしまった。
「は、春菜!」
それを急いで追う智宏
いやー、なんともラブコメだねー
そんな風に二人を見送り、次に真希ちゃんの方を見た。
「妹……いもうと、イモウト……イモウト、イモウト、イモウト、イモウト……(ブツブツ)」
「……」
智宏の発言をかなり気にしていて妹という単語を連呼している。
このまま放っておく手段もあるがそれはそれで気が引ける。
「真希ちゃん、遅刻すんぜ?」
「……(フツブツ)」
もはや聞き取れない位に妹を連呼している。
現実に引き戻すために肩に手を置こうと――
「触るな変態」
ブツブツとしていたところから一転し、氷のような冷たい眼差しで俺を睨む。
しかも出した手は真希ちゃんの手の甲で弾かれる。
「ちっ……」
おまけにハンカチで手を拭きながら踵を返して去っていった。
「………………いいよ、慣れてるし」
そう自分に言い聞かせながら俺は学園に向かった。
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