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階段を上り外へ出ると森に出た。
「やはり地下だったのですね。でも、いいのですか?隠したりしなくても。」
扉なんて付いてなく、階段を上れば地上に出たので普通の人が偶々見つけてしまう可能性が十分あった。
「迷いの森と言われてるこの森には、誰も近づこうとしないから大丈夫なんだよ。」
男は当たり前のように言った。
「迷いの森?何か特別な力がこの森にはあるのですか?」
召喚術があるくらいだ。
何か魔術や結界なんてあっても不思議じゃない。
「そんなのはこの森にはない。ここはただの森だ。」
「じゃあ、何故迷いの森と呼ばれているのですか?」
「なんでもこの森に入った人が何人も帰って来なく、行方不明になった人が何人もいるみたいだからそう名付けられたらしい。」
「そうですか。」
女はある何か引っかかった。
地下にいた時の男と地上に出てからの男に何か違和感を感じた。
女が考え込んでいるうちに男はスタスタと森の奥へ進んで行った。
女はそれに気付くと少し駆け足で男に追い付き、追い付いた後は男と同じペースで歩いて行った。
「どこに向かってるんですか?」
「俺の家だ。」
「どこにあるのですか?」
「…森を出た所にある。」
「森はどれくらい歩けば出られますか?」
「……少しだ。」
「時間的にはどれくらいですか?」
「………いいから黙って歩け。」
「………」
女は言われた通り黙った。
そして女はあることに気がついた。
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