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「いえ、言ってみてください。私たちは願いを叶えるために召喚されたのですから。」
この男が描いた『陣』はこの女を召喚するための『陣』だったのだ。召喚をすると代償を支払うことなく何か願いを叶えてくれるため、男は召喚したのだ。
「でも、多分叶えられない願いだ。」
「死んだ者を生き返らせろとかは無理ですが、他のことなら大抵は叶えられます。世界を征服しろと言うなら…」
「いや、そんな大層な願いじゃない。」
女が言い終わる前に口を挟んだ。
「だったら言ってください。」
「………」
二人の間に沈黙が続いた。
「…俺を…」
「俺を殺してくれ。」
「っ!?」
男のその言葉は女にとって意外なことだったのだろう。それもそのはずだ。なぜなら願い事が自分を殺してくれなんてわざわざ召喚してまで願うようなことじゃない。死にたければ自殺すればいいだけなのだから。
「…本当にそれが願いなのですね?」
「あぁ。」
「分かりました。ではその願い叶えましょう。」
女は腰に付けた剣を抜き構えた。
剣はよく見る西洋の剣だ。先は尖っていて、剣の両側に刃がはる剣。でも特別な剣なのだろう。鍔は独特なデザインになっていた。
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