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「何言ってるんですか。さっきまで一撃も当てることもできなかった貴方が。」
当たり前の反応だ。男が何度も殴ったのにもかかわらず当たるどころか、かすりもしなかったのだから。
「それはお前が抵抗しない相手には攻撃出来ないって言ったからだろ?俺が加減して攻撃しないとお前を倒してしまうからな。」
男は自信満々の表情で女に言った。
「私を侮辱してるつもりですか?」
女の表情は怒りに満ちていた。
「怒ってるようだが、何か癪に障ったか?」
男のこの言葉は女をあざけるように言った。
「…いえ、癪に障ったことを通り越して、万死に値します。」
言い終わると同時に一歩で男の懐に飛び込んだ。男は全く反応できず、目だけが女をとらえていた。
下から上へ剣を切り上げ男を切り裂いた。否、切り裂いたはずだった。
「えっ!?」
男は斬りつけられる瞬間バックステップで避けていた。
「危ねぇ危ねぇ。もうちょっとで当たるところだった。」
口ではそう言ってるものの男の表情からは余裕を感じられた。
「なぜ今のが避けられたのですか?貴方は私が懐に飛び込んだまでは全く反応していなかったはずなのに。」
普通ならどんな凄腕の達人であっても避けることはできない。なぜなら初動の差があるからだ。どんだけ反射神経がよくても相手が先に動いていれば避けられるはずがないのだ。簡単に説明するならば相手が銃を撃った後に避けるのは不可能。避けたいのなら相手が引き金を引く瞬間から動いてなければならない。
「さぁ?なんでだろうな?」
「言う気がないのなら無理やりにでも聞き出すまでです。」
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