プロローグ

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女は次々に剣を振り抜く、その攻撃を紙一重で男はすべて避けている。 ワザと紙一重で避けているわけではない。本当にギリギリなのだ。このまま攻撃し続ければいずれ男は疲れ切り裂かれるだろう。 (おかしい…なぜさっきの攻撃はあんなに容易く避けられたのに、この攻撃は紙一重なのだ?) 女は攻撃し続けながら疑問が湧いた。 それもそのはず明らかにおかしいのだ。 今の攻撃は初動からすべてを把握しているため回避することは、戦いに慣れている者なら容易く避けられる。しかしさっきの攻撃は別だ。さっきの攻撃はどんな強者でも避けることはまず不可能なのだ。 ここで男に違和感が生じる。 この男はなぜさっきの攻撃を容易く避けたのにも関わらず、今の攻撃がギリギリなのかと。 (攻撃の間、一回もまばたきをしていない。戦い慣れているように感じるが、避け方が素人だ。なんだこの違和感は…) 女は疑問を抱きながらも男の行動をしっかり見ていた。 男は攻撃を避けるために集中しているのだろう。女から目を逸らすどころかまばたきを一回もしなかった。 グラッ… しかしそろそろ集中が切れてきたのだろう。男は足がもつれてバランスを崩した。 「これで終わりです。契約果たさせてもらいます。」 女は容赦なくバランスを崩した男に向かって切り下ろした。 その瞬間、男が消えていた。 「えっ!?」 そして気が付けば男は女の後頭部に銃口を突き付けていた。
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