灰色の序章

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求人誌に目を戻す。 「料亭:日給三万円以上」 … 料亭って、飯食うとこじゃねぇの? なぜこんなに給料が高いのか…。 あ、そっか、もしかしていわゆるホステスさんの仕事? この求人誌はそっち系か…。 いくらその世界に全く無知な私でも、書かれた職種と不釣り合いな給料に、それぐらいはわかった。 他に「デートコンパニオン」お客様とお食事するだけで五千円! 「オナクラ」お客様を見ているだけ!触られることは一切ありません! などなど、胡散臭い言葉ばかり。 でもその胡散臭さが逆に当時の私にとっては都合がよかった。 空っぽだった私は煙草のヤニのように薄汚れたものをどこかで欲していた。
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