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「あら。かわいい悪魔ちゃんね……ってあー!
あなた、ライラの〝心〟を食べちゃダメでしょ!
そんないけない子はお仕置きよっ!」
ちいさな胴体がすっぽりと彼女の片手に収まっていた。
悪魔は手足をばたつかせるが事態は何も変わらないようだ。
抵抗はむなしくももう一方の手を翳されてしまった。
これが、魔法なのかな?
手のひらからキラキラした、
お日さまの光のカケラみたいなものが手の平から降っている。
反射の具合で
赤、黄、緑、青などの色が部屋というキャンパスに描かれていく。
「グゥゥ……」
痛いのだろうか。
黒い毛は少しずつ白く脱色されていく。
手足の動きもついには鈍くなってしまった。
大理石のように固く、白くなってしまったそれは
ぱぁっと、はじけた。
悪魔を構成していた光の粒たちは解き放たれた。
私の顔にそれがついた。
すぐに消えてしまったけれど
なにか温かいものを確かに感じた。
グラウンドに咲いていたあのタンポポ達も
こんなかんじだったのかな?
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