隠された真実

9/24
前へ
/176ページ
次へ
「あら。かわいい悪魔ちゃんね……ってあー! あなた、ライラの〝心〟を食べちゃダメでしょ! そんないけない子はお仕置きよっ!」 ちいさな胴体がすっぽりと彼女の片手に収まっていた。 悪魔は手足をばたつかせるが事態は何も変わらないようだ。 抵抗はむなしくももう一方の手を翳されてしまった。 これが、魔法なのかな? 手のひらからキラキラした、 お日さまの光のカケラみたいなものが手の平から降っている。 反射の具合で 赤、黄、緑、青などの色が部屋というキャンパスに描かれていく。 「グゥゥ……」 痛いのだろうか。 黒い毛は少しずつ白く脱色されていく。 手足の動きもついには鈍くなってしまった。 大理石のように固く、白くなってしまったそれは ぱぁっと、はじけた。 悪魔を構成していた光の粒たちは解き放たれた。 私の顔にそれがついた。 すぐに消えてしまったけれど なにか温かいものを確かに感じた。 グラウンドに咲いていたあのタンポポ達も こんなかんじだったのかな?
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加