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‥Pipipipipi!
1日の始まりは、耳障りな機会音。
バシッと乱暴に止めると、カーテンの隙間から漏れる朝日に目をしかめながら、怠そうに体を起こす。
「ふぁああぁぁ~」
大きな欠伸でアゴが外れそうだ。
「舞衣~!
いい加減起きないと
遅刻するぞー!!」
台所から飛んでくる兄の怒声に、慌てて時計を確認する。
「やっばい!寝坊した」
着ていたパジャマを脱ぎ捨て制服に着替えると、バタバタと階段を駆け降りる。
持っていた鞄を廊下に置いて、洗面所へ駆け込む姿は、毎度見慣れた光景だ。
顔を洗い、寝癖で跳ねた髪を整えると、玄関チャイムの音が響いた。
「お早うございま~す」
親友のユミが迎えに来たのだ。
「ちょっ、
ちょっと待ってぇ~!」
「はいはい」
「いつも悪いね、
裕美ちゃん‥」
この光景も毎度の事である。
再び、ビタバタと玄関先にやってきた舞衣を二人が呆れた顔で見つめる。
「お待たせっ!
じゃあ、行ってきます」
「ほら、弁当。
中に朝飯も入ってるから、学校着いたらちゃんと食べろよ」
「ありがと。兄ちゃん!」
「じゃ、行ってきまーす」
学校までの道のりは、徒歩20分。
全力疾走12分。
勿論、毎度の事ながら後者なわけだが‥
これがごくごく普通の生活を送る、主人公
水鏡 舞衣(ミカガミ マイ)の日常であり、平凡な日々の朝の情景である。
が、
しかしこの時、
こんな当たり前の日常に終わりが来ることなど、まだ知るよしも無かったのだ。
一部の人間を除いては‥
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