序章~総ての始まり

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学校に着いたのはチャイムギリギリ。 校門が閉まる直前の滑り込みセーフだった。 息も切れ切れ。 呼吸もままならないまま、玄関ホールにへたり込む。 「そんなんなるくらいなら、もうちょっと早く寝れば良いのに‥ どーせ、明け方までゲームでもしてたんでしょ」 「返す言葉もありません‥」 どうやら今、夢中になっているRPGが佳境に入っているようだ。 そんな二人の背中にバシッと衝撃が走った。 『ぅわっ?!』 「おはよ、二人とも。 またギリギリ??」 笑いながらそう言ったのは、昨年までのクラスメイトだったサツキだ。 「皐月‥。 脅かさないでよ」 けらけらと良く笑う彼女は、典型的なスポーツ万能型。 あまり頭で考えて動く方ではない。 どうやら力が有り余っているようだ。 予想以上に強い衝撃が来たらしい。 睡眠不足。 朝食抜き。 起きぬけの全力疾走に加え、皐月の攻撃。 舞衣のHPは残りわずかだ。 「ゴメン、ゴメン」 当の皐月は舌を出して、まるで悪びれない様子だ。 「ところで、皐月が何でここに居るの? スポーツ科は別棟でしょ??」 裕美が首を傾げる。 確かに、この校舎に皐月の教室は無い。 「朝、放送があったんだよ。 緊急で全校朝礼開くから、講堂に集まれって」 緊急とは、何だか穏やかではない。 「それって学園側?」 「いや、放送かけてたのは荒夜<アラヤ>さんだったから、執行部じゃないかな?」 へたり混んでいた舞衣がやっとの思いで立ち上がる。 「じゃあ、行こうか」 他の生徒が向かう方に、三人も足を進めた。 講堂は、舞台を囲むように座席があり、着席は自由だ。 生徒が集合し終えると、扉が閉まり、壇上に一人の生徒が上った。 「起立!」 号令に従い、全員が立ち上がる。 「これから、 緊急の朝礼会を行います」 講堂には妙な緊張感が漂っていた。 それもそのはず。 壇上に立っているのは、舞衣達が通う 星稜<セイリョウ>学園高等部の執行会会長を勤める、 安倍 理久<アベ リク> その人だったからに他ならない。
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