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クルミは眼鏡をかけていた。
何の変哲も無い、黒縁の眼鏡。
しかし、度の入っていない伊達眼鏡だった。
クルミが伊達眼鏡をかけ始めたのには理由があった。
数ヶ月前の出来事。
クルミには好きな人がいた。
同じクラスの海田君。
クラスの中でも人気があった。
好きになった理由は、クルミ自身もはっきりしていなかった。
『好きになるのに理由はないでしょ?』
クルミはよく友人のリカに言っていた。
リカはクルミのクラスメイトで友人だった。
海田に片思いをしている事を知っていた唯一の友人。
リカはよく、クルミに質問していた。
「どうして告白しないの?」
それに対し、クルミはいつもこう答えていた。
「自信がないから」
リカくらい美人だったらすぐにでもするけれど。
そんな事を付け加えて。
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