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次の日の朝。
ほとんど眠れなかったクルミは、なるべくいつもと同じように過ごそうと心に決めると制服に袖を通した。
海田とも、今までと変わらず接するつもりで。
学校に着くまでの電車の中で、海田に会った時のシチュエーションを想定しながら、自分自身を勇気付けていた。
校門の前で、クルミは大きく息を吸い、門をくぐった。
上靴に履き替えながら、すれ違うクラスメイトにいつものように挨拶をする。
「おはよ」
「……あ、はよ」
すれ違った数人のクラスメイト達の反応が少しぎこちなかった。
挨拶を交わしたクラスメイト達の背中をクルミは見つめていた。
クルミが教室に入るとクラスメイト達の話し声が、一瞬で消えた。
クルミは不思議そうな表情をしながら自分の机へと向かう。
すると、普段そんなに話をした事の無いクラスメイトの女子が数人、クルミの机の周りを囲んだ。
突然、一人のクラスメイトが言葉を発した。
「元気出してね」
また別のクラスメイトもクルミに声を掛ける。
「誰にでもあるし、こんな事って」
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