15人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「よくもまあ面ぁ出せたもんだな。なあ兄弟。」
二人はサリヴァンの行きつけのレストランに来ていた。ダニエルは抵抗もなく大人しくしているので、とくに拘束もしていない。これも男の面子、なのだろうか。
「どこで野垂れ死んでも構いやしなかったが、お前の前で死ぬのだけはゴメンだぜ、マイケル。」
「俺もテメーがどこで死のうが知ったこっちゃねえが、ケジメは付けるぜ。」
ダニエルは数人の強面の老人に連れて行かれた。
「やつには然るべき報いが与えられるだろう。ご苦労だったな。報酬に関してはあとで請求してくれ。だが…、肝心の『ブツ』はどこにあるんだ?」
「じゃあサリヴァンさん、これが依頼の『裏帳簿』です。まぁ、半分焼けちゃいましたけど。」
モアは半分燃えてしまった帳簿を渡した。
「……。これは何だ?明日提出する数学の宿題か?俺もよくやったぜ。『センセー宿題燃えちゃいました』ってな。………。」
タバコを深く吸う。
「これじゃあ金は払えねえな。」
「あらら?『完全に無傷で裏帳簿を回収しろ』なんて一言も言ってなかったじゃあないですか?」
「報酬はこの中から出るんだよボケ!これで俺たちゃスカンピンなんだ!老後にとっといた庭いじりも旅行もこれでおジャンだ!チット考えたらわかんだろ!」
よくもまぁこんな奴に喧嘩売れるな…、とフィルスは横でびくびくしていた。
「………はぁ。『これ』は後から少しずつ情報屋に売り付けようと思ってたんですが…。…よいしょ。」
モアがレインコートの裾をめくり上げると、多少焦げてはいるもののほぼ無傷の帳簿のページがバラバラと床に散らばった。
「まったく…。クソガキが…。」
最初のコメントを投稿しよう!