裏の顔

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2人が借金した理由とは何か。 「僕は自分の店を持ちたいという夢のために…借金しました」 「……私も同じく自分の事務所を持ちたくて借金していました」 「岩渕氏は厳しい取り立てで有名でしたが…いかがでしたか?」 「どういう意味ですか…?」 「脅されていたとか…暴力や暴言などを受けていたとか――…」 「まさか…私たちを疑って!?」 「いえいえ、形式だけです。 別に疑っているわけじゃ――」 「……厳しい取り立てでした」 「――赤羽くん!?」 赤羽さんは拳を握り締めている。 「どうせ調べられれば分かることですし…隠してもムダですよ。 だったら話してしまった方が楽でいいじゃないですか。僕らは何もしていないんですからね…! 犯人扱いされるよりマシですよ」 「た、確かに…そうだな」 赤羽さんは顔を上げて狭山さんに近づき彼の目をジッと見た。 「厳しい取り立てでしたよ。 一分でも支払い期日に遅れると…倍の金額を要求してきました…」 「さらに不当な金利をふっかけてきて…払えないと分かると… 土下座しろだとか言われて… 暴言なんて当たり前でした…っ」 辛い目に遭っていたんだな。 「僕たちが…どうしてこの辺りに自分の店や事務所を出しているか…皆さんに分かりますか?」 「い、いえ…」 「……監視の為か」 赤羽さんと金沢さんは頷いた。 「あいつは自分がお金を貸してる人間を自分の側に置くんです。 そうすることで監視も出来るし、支配することが出来ますから。 とんでもない奴ですよ、本当に…あんな奴…殺されて当然です。 僕らは犯人に感謝していますよ」 岩渕さんは本当に恨まれていた。 他人の自由を奪い…支配して悦楽する…悪趣味な男だったのか。 「……分かりました。とりあえずあちらでお待ちください」 2人とも十分に殺意も動機もあり…2人ともアリバイがない。 犯行は可能だとは思うけど… 問題は借用書の行方だろうな。 「山崎警視」 「なんだ?」 「店長室から顧客名簿と怪しげな黒い手帳を発見しました!」 「ありがとう」 顧客名簿か…これを見ればなにか分かるかもしれないけど… 「む…?これは…」 御門さんが見つけた名前は… 「――金沢庸治さん!? 金沢さんは常連客だったのか!」 金沢さんの正体とはいったい…
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