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金庫からお金を持ち逃げした人物…それはマネージャーだった。
小林さんはいったいどこへ…
「彼女たちの様子は?」
「だいぶ落ち着きました」
「もう話を聞けると思います」
「そうか…ありがとう」
おれたちは部屋の中に入った。
「桃子さん、大丈夫ですか?」
「はい。最初は何が何だか分からなくてドキドキしてたけど…
たぶん、もう大丈夫ですから…」
桃子さんがいた時は驚いたけど…彼女にも話を聞かないとな。
「桃子さん、事件当時に何をしていたのか教えてください」
「えっと…あの時はご主人様方がだいぶ少なくなっていたので…
一人で洗い場にいて食器やグラスなんかを洗っていました。
そしたら大きな音が聞こえて…」
「警察が突入したきたのか」
桃子さんは小さく頷いた。
「じゃあ、桃子さんは一人で洗い場にいたわけだから…アリバイを証明できる人はいないんですね」
「あっ、そういえば…隣の厨房にあゆみちゃんがいましたよ」
「須藤さん、本当ですか?」
黒みがかった茶色の長い髪を横で結んでツインテールにしている。
妹系と呼ばれるタイプらしい。
「はい。あの…実はわたし料理を勉強してて…ご主人様においしい料理を作って差し上げたくて…
一人で料理の練習をしてました」
「厨房は洗い場の隣か…だったらお互いの姿は見ていたのか」
「まぁ、死角になっている部分はあるし厨房から店長室はそんなに離れていませんからねぇ…
アリバイとは言えないのでは?」
確かに…この見取り図を見ると…店自体は大きなものじゃない。
でも、何だか妙な違和感がある。
「じゃあ、安岡美保さん。
あなたは事件当時に何をしていたのか教えて頂いて良いですか?」
長い黒髪ストレートでいかにもな清純系美少女といったところか。
「はい、えっと…わたしは…」
何だか歯切れが悪い。
「常連さんのお相手を…」
「その常連というのは?」
「えっと、それは~…」
何だか様子がおかしい。
何かを隠しているみたいだ。
「隠しても無駄ですよ。
防犯カメラの映像や名簿を調べて行けばすぐに分かりますから」
「……ざわさんです……」
声が小さくて聞き取れなかった。
「もう一度、お願いします」
「金沢庸治さんです!」
「金沢さん!?」
まさかの答えだった。
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