2つの人格

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なんだか身体が軽い。 まるで浮いているみたいだ。 『そうか、僕は…』 死ぬ覚悟はあった。でも、こんなものなのか…あまり自覚はない。 『ここは…病院?』 僕が目を覚ました場所はどうやら手術室のようで部屋の中心に同じ服を着た人たちが集まっている。 その人垣の中心を覗き込むと… 『僕が寝てる!?』 『ようやく自覚したかよ』 『キミは…』 『もう一人のお前だ』 僕は嬉しくて彼に抱きついた。 『――ちょ、おい!!』 『やっと会えた…』 『タクミ…』 『名前は?』 『は?』 『キミの名前だよ!』 『名前…んなもんねぇよ。 必要ないと思ってたからな』 『じゃあ、僕の夢に出てきたから…巧の夢で「巧夢」はどう?』 『タクムか…悪くねぇな』 初めて会えたもう一人の自分… 僕はずっと彼に守られていた。 『タクム…ありがとう。 キミのおかげで家族とも自分とも向き合うことが出来たから… もう何も思い残すことはないよ』 『……ちょっと来い』 タクムは僕の手を引いて手術室を出て病院のロビーへ向かった。 そこには霧生くんたちの探偵部や神取組と龍崎組の構成員が… ロビーを埋め尽すほど集まっててその場の誰もがうつ向いている。 「神取くん、大丈夫かな…」 「あいつならきっと大丈夫… 郡司さんもきっと帰って来る!」 「心配ないさ!私だってあの爆発から生還したのだからなぁ!」 「先生、空気読んでください」 「兄さん…どうか、兄さんを…」 「巧…お願い…帰って来て…っ」 『母さん…みんな…』 『あれを見ても…まだ満足だったなんて言うつもりなのかよ』 『でも、僕は…』 『こんな時のために俺がいる』 『え…?』 『お前を死なせたりしねぇよ。 いいから身体に戻って寝てな。 目が覚めたらお前はきっと…』 『嫌だよ!ここで目を閉じたら…二度と会えない気がする。 タクム…僕はキミと一緒に――』 『甘えんじゃねぇ!』 『タクム…』 『お前には帰る場所がある。 待っているやつらがいる。 俺にはそういうのがない。 だから、ここでサヨナラだ。 お前のもう一つの心臓として与えられた役目を全うするだけだ。 早く…とっとと行っちまえよ!』 『ありがとう…巧夢…』 巧夢を抱きしめて目を閉じ二人の魂が一つになるのを感じた。 生まれ変わったらきっと――…
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