13人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
+
俺の赤い瞳を見つめて、おれの祖父は言った。
『お前の力は異端なのだ』
『それを封じ、お前は全てを知り得る事が出来ず』
『だが知ってはならぬ事を知る』
皺くちゃの手で顔を両端から包み込み、祖父はこうも続ける。
『だがな我が血縁の者よ。お前は自らを偽る術を身につけよ』
憐れむような、慈しむような。
そんな矛盾した表情を祖父は浮かべていた。
そして俺の金色の髪を優しい手つきで撫でて、腕時計の中に〝俺〟を封じた。
――その時からだ。
その時から俺は、白の仮面を被っている。
〝俺〟を知られないように。
〝おれ〟が〝俺〟に成り済ませるように。
おれは、本当に俺なのだろうか。
.
最初のコメントを投稿しよう!