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+葺+
こんにちは始めまして。
全国の可愛いお嬢さん方々!さぁ俺の胸へ飛び込んでいらっしゃーい!
……なんつってね☆
なんつってね!
まぁ気を取り直して、はじめまして。
俺の名前は常磐 葺(ときわ しゅう)と申します。
年齢は……忘れた。多分太陽と同じくらい生きてる。
「面倒くさいんで嘘つかんでください」
「……冗談だしィ。ちょっと位チャラッ☆としても良いじゃん」
「うっせぇ! うっせぇよお前!
黙ってとっととスラッと光速の速さで学園に行きやがれ!」
でまぁ、俺の前で騒いでいる人は邑次(おうじ)さん。
何とか家の何とかって言う種族で何とかって人の次男で何とかで年齢は何とか。
「その説明で分かる人が居たら俺は心の底から尊敬する」
ズバッと俺の心の中の声に突っ込んで、邑次さんは「で?」と首を傾げた。
「――んで?
お前本当に苺ちゃんと同じ学園で大丈夫なのかよ」
「んー。多分」
ヘラッと笑って言うと、邑次さんは釣り目の瞳を細めて呆れた様に溜息を吐いた。
そんな彼に、俺は更に言葉を続ける。
「それに今の時期色々と忙しくなるんだろ?
だったらそこに俺居たら流石に邪魔くせぇじゃん」
「というより、それが無くても常に貴方は邪魔ですよ」
「酷いですよ、次期当主様」
俺は運転席で眼鏡を押し上げる人に向かってブツブツと文句を漏らす。
しかし、彼はフンッと嘲笑う様に鼻を鳴らしただけで、それ以上俺に何か言ってくる事は無かった。
あ、ついでに彼は邑次さんの兄で琴久(ことひさ)様。
眼鏡をかけた細面の、外面ド鬼畜、内面ド鬼畜の真性ド鬼畜男だ。
ま、俺はそんな琴久様の率直過ぎる部分が気に入ってたりするんだけど。
ハハハー。まぁ俺も大概物好きっつーかなんつーか。
もういっそ開けっ広げだと清々しくねぇ?
そんな事を思いながら、俺は前の席に座る二人に目線を向けた。
「というか、学園はクレイモアの人間が守ってるんだろ?」
「らしいですね」
ついでに言えば北欧の神やら天界の天使、地を跨いで下へ行けば悪魔まで居るらしい。
何ともまぁ興味深い場所だと思う。
俺の言葉に琴久様はコクリと頷き、視線を前に向けたまま口を開いた。
「狐君をあの学園に入れたのも、強い人たちに刺激されれば少しは〝特別〟だという自覚が出ると思ったからですが」
そう琴久様が告げるのと、邑次さんが声を上げて泣き出すのは同時だった。
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