山のあなた

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不思議と怖さはまったくない。 それどころか… 満ち足りた気分になるのはどうしてなのかしら。 「豊さん、例えどんなところでも、二人で向かうのなら、そこが幸い住む地ですわ。」 驚いた表情で一瞬だけ私を振り返り、また真っ直ぐ前を見る。 今度は穏やかな笑みを湛えて。 「あの場所なら…」 車は山道を飛ぶように走り下る。 崖に囲まれた美しい湖がどんどん青さを広げていく。
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