男爵令嬢

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懐中時計の蓋を開ければ、小さく奏でられるオルゴール。 舶来の少し小振りに作られた女物のそれは、姉の形見。 『お嬢様、また聴いていらっしゃるのですね。』 『ええ、この音色を聴くたびに優しい気持ちになれるの。』 ぱちんと蓋を閉じ、目も閉じて、記憶の中の美しい顔を思い出す。 お姉様…。
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