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精神病院に通う日だった私は、
暇潰しに屋上に足を向けた。
階段を登って、扉を開く。
ピシャリとまとわりつく寒さが心地よい。
青に浮かんだ白い雲を目で追うのは至福の時である。
「カシャッ」
音がした方を見てみると、緑色のフェンスに手をかけて、今にも飛び出しそうな男の子がいた。
私は彼に声をかけた。
「………何してんの?…あんた…」
私の声に驚いたのか、彼はフェンスから離れ、私の方を向いた。
これが、
私と、死にたがりの少年、
神仲武人の出会いだった。
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