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「痴話喧嘩だ、気にするな」孝が言うと、「「ちげー(うわ)よ」」ハモッて返ってきた。
「そんじゃまぁ、全員揃ったことだし、帰りまっか!?」孝の呼びかけで、一同は校門に向かって歩き出した。
ちなみに孝が言う全員とは、二条暖人。喜多野舞子。木元孝。新垣亮太。高津綾芽の同級生で、幼なじみのメンバー五人のことだ。
しかもこの五人は、昔から仲良しで、近所で評判になるほどだった。
とにかく仲が良く、暇さえあれば誰かしらとつるんで遊んでいる。
それがたとえ男女で二人きりになったとしても、平気でお互いの家で遊んでいる程の仲の良さだった。
実は、それにはちゃんとした理由が幾つかある。その一つが、互いの親同士がとても仲が良く、町内の行事があるときは、必ず全員で話し合うことだった。
それに趣味や習い事、遊びが似ていたもので、お互いの家族同士で遊びに行ったりするほどだ。
たとえ子供どうしが、どんな理由で喧嘩をしようとも、片方の味方はせずに喧嘩両成敗と、お互い納得がいくまで話させて、仲直りさせていた。
そんな親たちを見て育った子供たちは、口では言いたい事を言っているものの、互いの性格を知り尽くしている為か、この黄葉高校に進学した後も仲良しのままだった。
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