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校門の前まで来た暖人たちは、先に部室の鍵を返しに行った恵子と睦美の二人と合流し、学校を出た。
「ねぇ、暖人。よかったら今晩ご飯作りに行ってあげよっか?」と舞子が言い出した。
「えっ・いいのか?わざわざ来てもらっても」と暖人が言うと、「まぁ、今夜は特に用事も無いし、暖人が飢え死にするとイケないから・・・特別よ!」と舞子は言う。
家でも家事の手伝いをしている舞子は、料理の腕は抜群だった。それを知っている暖人は、是が非でもお願いしたい。
「普段から弟たちの面倒とか見てるから、ご飯作りに行くくらい、何とも思わないわ」とのこと。舞子の優しさに、先ほど泣かせたことを心から猛省する暖人だった。
「いいなぁ、舞ちゃんの手料理!暖人ちゃん羨ましいぃ」と綾芽が眼をウルウルさせながら、二人を見上げている。
「綾芽も食べに来なよ、何も用事が無ければの話だけど・・後・ちゃんは止せ」と暖人が綾芽に言う。
「行く、絶対に行く。後、暖人ちゃんは暖人ちゃんだもん」と両手を拳にして、胸の前にまで寄せた姿はとても可愛い!!
校内では生徒会のメンバーの為か、暖人くんと呼んだり、頼れる高津さんを演じているが、実はとてつもない甘えん坊で、寂しがり屋さんなのが、綾芽なのである。
「舞子も、人数増えても大丈夫かな?」と暖人が尋ねると、「任せなさい」と得意のVサインを作る舞子だった。
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