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暖人と舞子の家はすぐ近所な為、みんなと別れた後も、二人並んで歩いていた。
「ねぇ・・暖人・・・・脚の怪我の方はどうなの?」俯きながら話し出す舞子の突然の言葉。暖人は少し驚きながらも「もう何ともないないよ、痛みとかも、ほとんど無いし」と暖人は応えた。
「そう・・でも、無茶なことはしないでね」と暖人に言う舞子の顔は、今にも泣き出しそうだった。
(こいつ、あのときの事をまだ気にしてるのか)。
あれはもう、一年前のことになる。中学三年の夏休み前まで、暖人は野球部に在籍していた。
小三の時から始めた野球は、中学生になっても続けていた。
二年の時からレギュラーとなり、試合でもかなりの実力を発揮していた暖人!三年生になったときなどは、暖人が通う黄葉中学は、県の予選大会を見事に勝ち抜いた。
そんなある日の休日、その日は部活が休みだった為、午前中は近所の公園で一人自主トレしていた暖人。
そんななか、散歩に来ていた舞子とバッタリ出会い、練習を終えたあとに昼ごはんのお誘いをうけた。
二人は舞子の家に向かう途中、交差点で信号待ちをしていた。
そして、これが悲劇の始まりだった。
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