162人が本棚に入れています
本棚に追加
交差点の真ん中で、うずくまって動かない仔猫を舞子が見つけた。
車が来ないのを確認し、交差点の真ん中まで行った舞子は、仔猫を抱き抱えてこちらに戻ろうとした。そのとき、舞子の後ろ側から、暖人から見て前方から来た一台の車が、ウィンカーも出さずに右折してきた。
「危ない」、間に合わないと思った暖人は、舞子に向かって猛ダッシュした。舞子を歩道の方まで突き飛ばし、なんとか車から彼女を守った暖人だったが、自分は車を避けきれないで、車と打つかってしまう。
一瞬の出来事に、歩道では仔猫を抱いた舞子が尻餅を着いたまま、車道でうずくまる暖人を眺めている。
放心状態から我に返った舞子は、「イヤァァァアッ!!・・暖人ォォ!」叫びながら、すぐに暖人の側に駆け寄ると、持ってい携帯ですぐに救急車を呼んだ。
「暖人、暖人、しっかりして、ネェ、暖人ォ・・返事をシテよぉ」泣き叫ぶ舞子の声に、意識を取り戻した暖人。身体の右側、特に腰から脚に駆けて痛みが走る。
「大丈夫か?舞子、怪我してないか?」暖人が言うと、「バカァ、私もネコも無事だけど・・暖人、あんたが一番ひどいじゃない!」
泣きじゃくる舞子をみて、少女に怪我が無いと分かると、暖人は再び意識を失なった。
最初のコメントを投稿しよう!