夏、到来!嫁、襲来? 茜ちゃん登場

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そんな舞子の怒声に対して、暖人は視線をおくると、「な、何よ、ジィーと見つめて・・」、と少し頬を赤くする舞子に。 「フッ・・実って無ぇの」暖人の一言に、舞子の顔はみるみる真っ赤になり、目付きが鬼のようにつり上がる。 「んだとぉ、ゴラァァ~!筆が持てない体にしてヤろうかぁぁぁ」、暴れだそうとする舞子を、他の女子部員が止めにはいる。 さらにもう一人、「まぁまぁまぁ、舞子様、ここはひとつあっしに免じて、ごめリンコって事で!何とぞ穏便に」と言うと 舞子と暖人の間に、一人の男子部員が入り込む。 そいつは暖人と舞子の幼なじみ、木元 孝(キモトタカシ)。いつもおちゃらけた言葉遣いで会話するが、これで学年トップクラスの成績保持者だ。場を和ますのが得意で、二人の仲裁に入る。 「放しなさい、孝。この男に一発入れてやらなきゃ、気が済まないわ」 暖人は暴れだす舞子に近づいて、さらに一言「デブッ」、暖人の言葉に、もはや舞子を誰もが押さえられないと想った。 が、しかし、「ウッ・・・エグッ・・・・ウウッ・・わたし・・・グスッ・・デブじゃないもん・・」、と床に座りこみ、泣き出してしまった。 さらに舞子の耳元まで近づく暖人に、ギャラリーはまだ言うのか!みたいな顔をしている。 そして渾身の一言、「でも・・・スッゲェ~かわいいぞ!」 最後の一言に、その場にいた全員が「「えっ!?」」、と固まった。 耳元で可愛いと囁かれた舞子は、流していたはずの涙がピタリと止まり、「えっ、えっ?・かわいい・・わたし・・可愛い・・えへへぇ・・可愛いんだぁ」、両手を頬に当てて、ニヤニヤと笑い出す舞子。 付き合いの長い暖人は知っていたいた。舞子はどうでもいう人間には、何を言われても差ほどショックを受けずにやり返すが、暖人やら仲の良い人間に罵倒されたりすると、本気でヘコむ性格の持ち主だと。 だから暖人はたまに、こうして舞子のことを悪いと思いながら、からかってしまう。 「ちょっと二条くん、なに舞子のこと泣かしてるのよ、部長が戻ったら言いつけてやるから!」、と舞子を止めていた女子部員の佐野恵子が激しく怒りだす。 恵子も舞子と同じ中学出身で、中学、高校ととても仲の良い友達だ。 暖人は恵子に「ごめん、悪かったよ、反省している」と口では言うものの、この幼なじみの舞子の反応が、楽しくてしょうがなかった。 しかし、それを見抜いていた恵子は「ダメよ、舞子が泣き止むまで、ちゃんと謝りなさい」、と腰に手を充てて言う。
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