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ハァ、とため息をついた暖人は、「分かったよ」、仕方ないと舞子の方を見ると、いまだに頬に両手を充てニコニコと笑っている舞子の姿があった。
「暖人ぉ、お前知っててわざとやっただろ」、と孝が言う。
「ああっ、だけど、ここまで変貌するとは思わなかったがな」。
「ガキの頃とちっとも変わらねーな、お前も舞子も」孝は言う。そう、俺たちは互いの性格を知り尽くした幼なじみ。互いにの良いところや悪いとこなど、大概のことなら分かり合っている仲だ。
「悪かったな可愛い舞子、真面目に絵を描くから、機嫌直してくれ」、と暖人は舞子に言う。
すると舞子は「しょうがないな、暖人は。私の方がお姉さんだから、弟のイタズラと思って、許してあげるぅ」、などと嬉しそうに言うと、またニコニコと笑いだした。
軌道修正して、全員がキャンパスやらスケッチブックに絵を描きだすと、 ガラガラガラっと戸の開く音が聞こえた。
「あっ、部長お帰りなさい、生徒会お疲れ様です」と恵子が言うと、「アラアラ、皆さんちゃんとスケッチしていたのね、お母さん、嬉しいわぁ」などと部員に言ってくる。
たった今部室に入って来たのは、三年でわが部の部長、更には黄葉高校生徒会会長の神崎 睦美である!
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