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温厚でいつも笑顔を絶やさない美少女、やや天然で変わり者だが、それを補って余りある才能の持ち主。全校生徒の憧れにして我が美術部の母親的存在、それが睦美である。
「ところで恵子ちゃん、先ほど物凄い怒声がこの部屋から聞こえたのだけれど、何か在ったの?」
睦美の問いかけに「二条くんが喜多野さんを苛めてましたぁ!」 と恵子が応える。
「あらあらっ、暖くんはまた舞ちゃんにイジワルしてなの?そんなことしたら、メッ、じゃない!!」
「ごめんなさい、睦姉。」素直に謝る暖人。
暖人は睦美に頭が上がらない!それだけ昔から睦美には世話になっているのだから。
睦美と暖人は従姉妹の関係で、この黄葉町に引っ越してきたばかりの時は、積極的に暖人の面倒をみてくれていた。
なかなか友だちが出来なかった暖人は、学校の休みの日は家から出ないで一人でテレビゲームばかりしていた。
それを見兼ねた睦美は、休日になると暖人を連れだし、近所の公園に出掛けては、暖人と同い年の子達と遊ばす様にしていた。
その中には当時、睦美が通っていた空手道場の娘で、妹的存在の舞子や、舞子の幼なじみの(本人は腐れ縁と言っている)孝などがいた。
そんな睦美の優しさと、面倒見の良さのお陰でできたのが、孝や舞子といった幼なじみグループなのである。
もし、睦美が困っていたら、必ず自分が睦美を助けるのだと、睦美の通う黄葉高校に進学した暖人は、部員不足で廃部寸前の美術部に入部してほしいと睦美に嘆願されたとき、二つ返事で了承したのだった。
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