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この美術部は、部員が全員で五名程在籍している。三年生で部長の睦美と 、あとは暖人に孝、舞子と恵子の 一年生の四人組だけ。去年までは七名いた部員も、その内の六名が卒業していった。
つまり、残ったのは在校生で今年三年になった睦美だけ。
なんとしても最低四名の部員を集めないと廃部にされてしまうとのこと。
最初から入部希望だった恵子と舞子は、睦美が困っていると、暖人や孝などに話をした。
睦美に憧れる孝と、散々世話になった恩人の睦美を助けたい暖人はすぐに入部を了解した。
こうして美術部は、今年も何とか部の活動と存続を維持できたのだった。
しばらくの間、部員全員が真面目にデッサンしていると、ドタドタドタドタッと廊下から誰かが走る足音が聴こえてくる。
「亮太が来てるわね」、と舞子が呟いた。ガラガラガラ、っと部室の戸が開く音がして、部員がそちらの方へ視線をおくると、新垣 亮太(アラガキリョウタ)が息を切らせて立っていた。
「ビンゴォ」と、どや顔の舞子に「よく分かったわね」、と驚く恵子。
そんな二人のやり取りを知ってか知らずか、亮太はまっすぐに暖人の前にまでやって来る。
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