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しかし、茜のカナヅチは筋金入りで、1日でなんとか成るとは到底思えなかった。
「パハァ。暖人ぉ、どれだけ進んだぁ?」
「多分・・・1メートル位は!?」
「えぇー!!もっと進んだ筈だよぉ!ちゃんと見ててくれたぁ?」不満そうに言う茜。
「そりゃ、もう・・・1歩も動かずに観てました!」と呆れ顔で言う暖人。
「ブゥーッ!もう一回やるから、ちゃんと見ててね!それ」と再び泳ぎ出す茜。
(やっべぇ、俺、自信無くなってきた。茜の事だから、諦めろなんて言ったら、落ち込むだろうな?)
呆然と見つめる暖人の後ろで「あら、暖人じゃないの?何してんのよこんな場所で?」と声を掛けてきた人物がいる。
振り返った暖人の目の前に居たのは舞子だった。
「舞子、どうしてここに?」と驚く暖人に「曖と海の付き添いよ。」と答える舞子だった。
「お姉ちゃん、お待たせ。あっ、暖人兄ちゃんだぁ!おはよう、暖人兄ちゃん」と弟の海が礼儀正しく挨拶をしてくる。
「おぅ、海、おはよう!曖はどうした?」
「あそこぉ!」と遊技場の有るプールを指差す海。
見るとそこには、遊具として置いてある大量のビーチボールを次々と投げ続ける曖の姿があった。
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