出張!歩と走子

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「とにかく、安心なさい。まず私が注射して、歩に注射するから。イメージ的には両面削った鉛筆みたいな注射があると想像して頂戴」 「そんなの無いよ!安心出来ないって」 「最初、少しチクっとするだけだから大丈夫よ」 「今のは、ちょっと上手いと思っちゃったけど!嫌だよ」 「そうね注射は、例えが悪かったわ。登山でいう、命綱をつけるものだと考えればいいのよ。私に結んで、歩に結んで、私達、運命共同体みたいな」 「走子ちゃん」 「じゃあ、歩、見てなさい。まず、注射する前にアルコールを塗らないといけないわ。塗らないとチクっどころじゃ済まないから」 「結局、注射になってるし。それに、アルコール、注射の方に塗ってるよ」 「細かいこと気にするものじゃないわ。良い!此処からは、言葉を選びなさい。一歩間違ったら、山から落ちるからね」 「今まで全く気にしてなかったのに。しかも、もう登山と注射がごっちゃになって訳がわからないよ」 「だって、歩が嫌がるから、私にまで射す事になっちゃったんだもん。二人でやろうとすると、登山の例えはベストだわ。流石はユウコさんよね」 「最初、私だけにするつもりだったの?」 「その勢いでするつもりだったのよ」 「いつものノリだよね」 「否定はしないわ」
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