Act.3「二回戦:逃奪ゲーム」

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「マネ……キン……」 悲鳴の主たちはロビーを走り回っている、いや、逃げ回っていると言ったほうが適切だ。 彼らを追いかける者――それは紛れもなく、千晴が言っていた『マネキンロボット』そのものであった。 関節が無いのか、脚を伸ばした状態で、かつ細かな歩幅で動いている。 しかし、人間の走りに衰えない移動速度を誇っていた。 「く……来るなァァァァァッ!!」 そのマネキンロボットは逃げる四人の中で一人の男に狙いを定めたようだ。他の者を無視し、彼だけを追い始めた。 「あれよ! 今朝見たやつ!」 後ろに付いていた千晴がマネキンロボットを指差して言う。 俺は狙われる彼をただ見ていることしかできなかった。 無論、他の連中もだ。 「助けて……助け……グァァァァァァ!!」 ちょうど壁に男とマネキンロボットが隠れてしまったその時、彼の悲痛な叫びが周辺に響き渡った。 「なに……何が起きたの!?」 そういった声が俺の回りから聞こえてくる。 あの悲鳴は間違いなく、攻撃を受けた時のものだ。 壁の先で起こった事態が分からない。 それがまた、俺たちプレイヤー一同の恐怖心を仰いだ。
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