Act.3「二回戦:逃奪ゲーム」

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「チーム結成時間、残り3分です」 女声の放送で、迫りくる10分が心拍数を高めた。 先ほどの騒動で大半の時間を使ってしまい、四人目を考えている暇が無くなっていた。 普段と比べて数十倍も時間の経過が早く感じる。 (どうすりゃいいんだ……) 辺りのプレイヤーを探りに探る。 時間も時間だ。皆、四人で集まり、リングを向けあっていた。 行動困難となっているのは俺たち以外見つからない。 「出遅れてますね……」 冷静沈着な黒崎さんにも、焦りが窺える。 「どうしよう、隆次郎君」 10分間にチームを組めなければ脱落が待っている。 まだ一切の進展がない。 こんな序盤で終わるなんて絶対に嫌だ。 「誰か! 誰か組んでくれ!」 大きな声を上げるのは危険だということも、よく考えてチームを組まなければならないことも判っている。 しかし、今は時間が無い。 誰でもいい。とにかく組まなければ脱落してしまう。 「俺でいいか?」 背後から飛び込んできたその声は、どこか聞き覚えがあった。 すかさず俺は振り向く。 「あんたは……!」
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