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サッサッサッサッサッ…
スリッパで床を擦っているような足音で、かなりの細かい歩幅のように思える。人のものとはあまり考え難い。
それから連想されるものは、今の俺には一つしか無かった。
(まさか……)
「あ……の……」
黒崎さんのぼやけた声が耳に入り、彼に振り返った。
「どうしました?」
「あ……あれ……」
ぽかんとした表情を浮かべながら黒崎さんは自分の目先を指差している。
ふと顔を正面に戻すと、そこにいる男たちも黒崎さんが示す方向に目を向けていた。
「……あれって……!」
俺は静かに驚愕した。
皆が注目しているのは廊下の曲がり角だと判った。
何故なら、そこから姿を現したものは足音の正体だからだ。
「で……出やがったか……」
その正体を目にし、藤野が呟く。
そして、角から現れた正体はこの廊下を横切り始めた。
「うわぁっ!!」
目の前のチームの男一人がその様子に驚きの声を上げる。
その叫びに気づき、"マネキンロボット"は廊下の真ん中で足を止めたのだ。
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