「脱落=死」

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(な……何だ……?) 足音とその他の雑音が消え失せ、沈黙の空気が数秒漂った。 カチカチカチカチ… そんな音と共にマネキンロボットの首がゆっくりと回り始める。 そして、顔が俺たちの方向へと動いた時点で停止したのだ。 口を大きく開け、気味の悪い笑顔のマネキンだ。 「…………」 何をすればいいか分からず、俺たちはただ奴の様子をじっと窺うことしかできない。 「ミツケタ! ミツケタ!」 「!!」 次の瞬間、マネキンロボットの両目が赤く光り、顔の向きに倣って身体もこちらに瞬時に向いたのだ。 ――それはつまり、奴に見つかったことを意味していた。 「これ、まさか……」 千晴が後退りしながら声を漏らす。 「見つかった……ってことだな」 藤野の言う通り、俺たちは見つかったのだ。 目の前の他チームも含めて、8人はマネキンロボットの標的になった。 「やっ、やばい!! 逃げるぞお前らっ!!」 先ほどから声を張り上げていた男が自分のチームメンバーに慌てて指示をする。 「マテ! マテ! マテ!…」 そう叫びながら、マネキンロボットは遂に俺たちへ向かって動き出した。 走るというより、高速で歩いているようだった。 「谷村君どうします!?」 黒崎さんに指示を求められた。 迷いは無かった。 とにかく今は―― 「逃げるしかねぇ!!」 俺はそう決断し、迫りくる『鬼』に背を向けた。
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